一時は日本のネット上に「先行者」をネタにしたサイトが大量に出現し、「先行者」が主人公のアニメやグッズまで作成され、配布された。 なお、「先行者」という言葉を初めて聞くという方のために説明しておくと、これは中国の長沙国防科技大学が2000年に開発した二足歩行人型ロボットの名前である。
なぜ「先行者」がこれほどまで日本でバカ受けしたかというと、一言で言えば「情けない」からである。 まずは写真をみていただこう。
◇先行者
(先行者 クリックで拡大)
製作者側の発表によれば、「先行者」は「身長1.4m、重量20s。頭、目、首、胴体のほか両足などが揃い、ある程度の言語を理解することもできる」とのことである。
また、二足歩行以外にも様々な動作が可能であり、当時のニュースによると、
「この「先行者」によって中国は ロボット技術分野で国際先進国レベルの仲間入りをした」
と報道された。
冗談のようであるが、ちゃんと真面目なニュースとして国営メディアで報道されたのである。
人民日報ネット版 日本語版 ニュースサイト 2000年11月29日「中国初の人型ロボット発表」 http://www.peopledaily.co.jp/j/2000/11/29/jp20001129_44763.html
上記のニュースを、日本の暇な若者が見逃すはずはない。大喜びでこのネタに飛びつき、「先行者」を、ホンダやソニーが開発したロボットと比較してバカにするという趣旨のサイトが山のように出現した。
たとえば、比較的シンプルにバカにしている例としては、
「ロボット技術の最先端」
http://www6.plala.or.jp/private-hp/samuraidamasii/tamasiitop/robotyuugoku/robotyuugoku.htm
などがある。このほかにも「先行者」ネタの日本語サイトは星の数ほどあり、より凝ったからかい方を採用しているサイトも多いので、興味のある向きは検索して遊んでいただきたい。
なお、エンジニアをしている友人に言わせると、「先行者」と日本の「ASIMO」などの二足歩行ロボットとの決定的な違いは、人間と同じような「動的制御」ができるかどうか、という点にあるらしい 。人間の歩行は、一瞬たりとも静的にバランスが取れている瞬間が存在しない。歩行の動作全体を 一つの動きとして制御しているから、もしもある時点で静止したら身体は倒れてしまう。これが「 動的制御」。
これに対して、「先行者」は歩行中のどの時点でも静的にバランスが取れている。つまり、ある時点で動作が停止するとそのままの姿勢で静止する。「歩行」を一つの「動き」として再現しているわけではないからだ。 したがって、人間の二足歩行とは似て非なるものだという。
日本のホンダやソニーが実現したのは、上記の「動的制御」であり、ここにこそ人型の二足歩行ロボット開発の難しさがあるとのことであった。
◇最近の中国の人型ロボット
さて、今頃になって「先行者」などと言う古い話を持ち出してきた理由は、最近、中国がまた新しい人型ロボットを 発表しているからである。
しかし、今度は結構本格派である。少なくとも外見は、5年の間に大きく進歩している。
たとえば、「匯童(huitong=ヒューマノイド)」。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2005&d=0919&f=it_0919_004.shtml&pt=large
このロボットは、中国の科学技術部が第10期五カ年計画の中で推進し、北京理工大学が中心となって3年間がかりで開発した。このロボットの視覚、音声言語能力、触覚、平衡感覚などに関する技術は、中国が知的財産権を確保しているとのことである。
2005年9月18日、北京市の展覧館で開催された「国家『十五』重大科学技術成果展」で公開され、太極拳や刀技など伝統武術の複雑な動作を実演してみせた。
なるほど、見た感じは、2000年に発表されたこれ(↓)とは大きな違いがある。
外見の雰囲気だけで言えば、既にこれ(↓by Sony)に近いか?
というか、はっきり言って、デザインぱくってないか?(^^;
なかなかカッコいいが、こういうのを見ると、ロボットも人間と同じで外見が大切であるということが良くわかる。
◇成長するロボット 復旦1号
なお、二足歩行はしないが、最近中国で発表された最新型ロボットとしてはこんなのもある。
成長するロボット 復旦1号
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2005&d=0923&f=it_0923_002.shtml
こちらは上海の名門である復旦大学が開発した「成長するロボット 復旦1号」。
なんと簡単な会話もできるらしい。
そのうえ、あらかじめ与えられたプログラムに従って作動するのではなく、内部に発育プログラムを持っており、人や物を認識することによって人間の赤ちゃんのように徐々に知能を形成していくらしい。
しかし、その顔を見る限り、ひとりよがりで空気の読めないヤツという感じで、あまり会話をしてみたい気分にはならない。
両手を広げてみんなを歓迎する復旦1号
(人民網ニュースhttp://scitech.people.com.cn/GB/25509/40769/41236/3721615.html)
◇日本の人型ロボットおもちゃ 二足歩行ロボット
さて、単に二足歩行するロボットと言うことであれば、日本ではおもちゃのレベルでも既に実現されている。
たとえば、これ。

サイズは身長31cmと小さいが、サーボモーターを16個搭載し(と言うか、全身殆どサーボモーターでできている)、独立して二足歩行する。制御はウインドウズパソコンでおこなう。
更におしゃれ系ロボットとしては、こんなのもある。
株式会社ZMPのロボット「nuvo(ぬーボー)」。

見た感じインテリアのようで、動くようには見えないが、高さ39cmで、実際に二足歩行する。ジャイロ&加速度センサーによって身体状況をリアルタイムに補正して、人間の歩行に近い原理で歩行する。音声認識エンジンを搭載、音声によるコマンド入力による操作や、FOMAケータイを通じてロボットのカメラの映像を見ながら遠隔操作することが可能。
「nuvo(ぬーボー)」の歩行の様子はこちら(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0302/04615.mpg)で動画が見られる。
「nuvo(ぬーボー)」のプレス発表会の模様はこちら(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0302/zmp.htm)。
また、おもちゃとしては相当に高価な部類に入るが、こういうものもある。

これなんかは、金700,000円也で、太極拳を舞ってくれるらしい。
これらのおもちゃは、どれも「先行者」より少なくとも見かけは立派だ。
あえて「先行者」に近いものを探すとすれば、このあたりだろうか(↓)。不細工だが、まさに「先行者」の息子と言ってよい。

また、単に二足歩行するだけなら、鳥でよければ30000円でも手に入る。

これでも9軸サーボをCPUでコントロールして動作し、独立して二足歩行する。
上記の「復旦大学一号」と同様、空気の読めなさそうな顔をしているが、 こちらは会話機能がないので大丈夫。どなたか1台購入して長沙国防科技大学に贈呈申し上げてはいかがか。