2006年01月31日

中国のインターネット規制(1)

このブログに来て下さる方の大部分は日本在住だと思うので、おそらく気づいていらっしゃらないと思うが、実はこのブログは中国国内からは閲覧できない。中国当局のアクセス規制により、「ページを表示できません」という表示が出てしまう。昨年12月からこういう状態になった。

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追記:2011年3月現在、seesaaへの接続制限は解除されている。一方、新たにfc2とamebloが規制対象となり、中国国内からはアクセスできない。
:追記ここまで。
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ご存知のとおり、中国政府は海外のインターネットサイトへのアクセスに規制をかけており、中国国内から閲覧することのできない海外のサイトは結構多い。このブログが利用しているシーザーブログ内のすべてのブログは、昨年12月末のある日、突然、中国国内からのアクセスを全面的に遮断された。
自分のブログが閲覧できないことに気づいたときは少々驚いた。その後、どうやら私のブログだけではなく、シーザーブログが全面的にアクセス規制の対象となっていることを知って、ほっとした。
「ほっとした」というのは、つまり私のブログが当局の気に障った訳ではないと判ったからである。シーザーには中国関係のブログが結構あるので、そのどれか、または、そのうちのいくつかが当局から「不適切」であると判断されたのだろう(私のブログはどちらかというと親中的なので、私のせいではないと思うのだが)。それにしても、シーザーブログまるごと全面接続禁止とは驚いた。
(なお、書き込みの際のドメインはseesaa.netではなくseesaa.jpなので、今のところは更新はできる)


◇その他のインターネット・サイトに対する規制の例

日本のジオシティーズやインフォシークが提供する無料ホームページは、かなり昔から(少なくとも5年以上前から)ほぼ全面的にアクセス不能である。これらの無料ホームページにはレベルの高いコンテンツも結構あるので、調べ物をするときなどに不便を感じることが多い。
また、昨年10月からウィキペディア日本語版(ネット上のオープンソース百科事典)へのアクセスが当局により遮断された。
ウィキペディアの編集方針は一応中立的であり、書込参加者の間で議論があるテーマについては、いったん記事の更新を停止して、内容について自由な討論をおこなう場まで用意されている。つまり、公平な記事内容の維持に十分配慮されたサイトであると言える。しかし、それでも中国当局の基準に照らすと望ましくないサイトということになるらしい。
なお、中国語版のウィキペディアは既に2005年6月3日に、また、ウィキペディア英語版は同月14日に、それぞれ当局によりアクセスが遮断されていた。中国国内の言語人口がそれほど多くはない日本語版にまで規制が及んだのは予想を超えた出来事だった。中国在住日本人にとっては日本語で各種情報を探せる貴重なサイトだったので残念である。

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追記:2011年3月現在、ウィキペディアへの接続制限は中国語、日本語、英語いずれも解除されている。
:追記ここまで。
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日本語サイトでさえこれだけの規制がかかっているのだから、中国内の言語人口が日本語よりもずっと多い英語サイトへの規制は更に厳しい。たとえばBBCのニュースサイトへのアクセスはずっと以前から全面的に遮断されている。CNNのサイトは記事の内容によっては接続できないときがある。その他の各国英語ニュースサイトも似たような情況にある。
このほか、グーグルやヤフーもたまに接続できないことがある。特定のキーワードに対して表示される検索結果が望ましくないときに制限されるのだろうと推測されている。

また、2002年には、googleへのアクセスが一時的にだが全面的に遮断されたことがあった。このときは、中国共産党の第16回党大会を控え、政府が報道規制を敷いていた。ちょうど最高指導者の交代が話題の焦点になっていた頃のできごとだ。このように政治的に重要な出来事がある場合、中国では情報統制が強化されるのが一般的である。
(ワイアードニュースレポート 2002年9月3日http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20020909205.html


◇アダルトサイト規制

以上は主として政治的な理由による制限と思われるが、このほか、ポルノ(アダルト)サイトも基本的には制限されている。英語のポルノサイトについては、かなり前から広範囲に規制されていたが、昨年半ば頃から日本語アダルトサイトにも規制対象が広がり、最大手と思われる「カリビアンコム」や「一本道」など有名アダルト動画ダウンロードサイトがアクセス不能となった。
中国国内ではアダルトビデオの類は全て違法であり、男女の性器および女性の胸部を露出することと、セックス場面の描写は禁止されている。上記のサイトは誰でも日本のアダルトビデオのサンプルをダウンロードできてしまうので、規制の必要ありと判断されたのだろう。


◇無理に閲覧すると

ジオシティーズやアダルトなどの禁止サイトでも、プロクシを通せばアクセスが可能である。
しかし、プロクシ経由の禁止サイトへのアクセスは、当局の規制システムに察知されるようだ。数分間アクセスしていると接続が遮断され、そのプロクシが使用できなくなるか、または、そのアカウント自体がしばらく使用できなくなることが多い。これはいわゆる「警告」であって、その時点で止めればよいのだが、プロクシを変えたりしてしつこく禁止サイトへのアクセスを続けていると自宅に公安がやってくるらしい。


◇ネットカフェでは身分証番号を登録

中国ではネットカフェが非常に発達しており、都市部ならばどこにでもある。
しかし、これを野放しにするとネット上の掲示板などに匿名で意見を発表することが可能となってしまうため、これらのネットカフェを利用する時には入り口で身分証明書を提示して氏名と身分証番号を登録しなければならないことになっている。
この制度、以前はかなり適当に運用されていて、口頭で名前と身分証番号を伝えるだけ、または、自分で適当に入力するだけでOK、という店も少なくなかった。店側としても、いちいち身分証を確認して入力手続きをして、というのが面倒だったのだろう。
ところが、昨年の末くらいから当局の指導が厳しくなったようで、どこのネットカフェでも必ず身分証の提示を求められるようになった。以前はいい加減にやっていた店でも、今は必ず店員が自ら確認して、本名と身分証番号をパソコンに入力するようになった。ネットカフェ側もかなり神経質になっているように感じられる。利用者のデータはおそらく公安への提出が義務付けられているのだろう。


◇サイト管理者は身元情報の登録が必要

中国のサイトは、もともと登録制が採られていたが、昨年3月に、中国内のサーバーにあるWebサイトはすべて2005年6月30日までに登録し、サイト責任者の完全な身元情報を提出しなくてはならないとの通達が出た(中国情報産業部の通達)。「国家を危険にさらす」情報を規制することが目的だという。
公式発表によれば同通達の時点で既に中国のサイトの約75%が登録済みであったらしいが、中国政府はその後、非登録サイトを特定して自動的に遮断する「Night Crawler」と呼ばれるシステムを立ち上げて、非登録サイト摘発のためのローラー作戦を実施した。
なお、ある中国のブロガーが国外のジャーナリストに対して語ったところによると、このブロガーは政府の管理機関に登録していないという理由で上海の警察によってサイトを遮断された。そこで情報産業部に電話で登録方法を聞いたところ、「独立したブログが許可を得られる可能性はない」ので「手間をかけて登録する必要はない」と告げられたという。(ソース:IT media News 2005年6月7日 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0506/07/news093.html)

有名な「国境なき記者団」は、この件についての声明文で次のように述べている。
「中国当局は、特に率直な発言をするサイトを国外に追い出そうとしている。そうなればフィルタリングによって中国からそれらサイトへのアクセスを遮断できる。国内で実名の下でサイトを続ける人々は、政治の話題を避けるか、中国共産党のプロパガンダを流さざるを得なくなってしまう。今回の決定は権力者によるオンラインのニュースと情報の効果的な統制を可能にする。」


◇ニュース報道の規制について

2005年9月25日、中国政府はインターネット上でのニュース報道への規制を強める新規定を公布し、即日施行した。新華社の報道によると、この『互聯網新聞信息服務(インターネット・ニュース情報サービス)管理規定』(中国語原文は、http://www.cnnic.net.cn/html/Dir/2005/09/27/3184.htmを参照)は2000年の規定を改定したものであり、中国情報産業部と国務院によって策定され、インターネット上のニュースサイトが経済的、社会的な進歩を促すような健全なニュースを報じるよう命じている。

その第19条には禁止されるニュース内容が列記されている。
1.憲法が定める基本原則に違反するもの。
2.国家の安全を害し、国家機密を朗詠し、国家政権を転覆し、国家統一を破壊するもの。
3.国家の栄誉および利益を害するもの。
4.民族的憎悪、民族差別を扇動し、民族の団結を破壊するもの。
5.国家の宗教政策を破壊し、邪教や封建的迷信を宣伝するもの。
6.デマを流し、社会秩序を騒乱し、社会の安定を破壊するもの。
7.わいせつ、色情、賭博、暴力、恐怖を散布し、または犯罪を教唆するもの。
8.他人を侮辱または誹謗し、他人の合法的利益を侵害するもの。
9.不法な集会、結社、行進、デモ、群集を扇動し、社会秩序を騒乱するもの。
10.不法な民間組織の名義で活動をおこなうもの。
11.法律、行政法規が禁止するその他の内容を含むもの。

つまり、これらが「健全でない」ニュースということのようだが、この辺の判断が実際にどのような基準に基づいておこなわれるのかはこの法文からでは読み取ることができない。


中国のインターネット規制(2)につづく。






posted by 陳ゆう at 03:12 | 雑記帳 インターネット事情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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