2011年05月03日

中国ブログの作法 (ネット隠語)

ネットの世界には独特な隠語とかスラングがある。これは中国でも同じ。
中国の場合、ブログや掲示板に露骨なことを書くと当局の規制で削除されてしまうので、スラングも発達している。

例えば、「ZF」。
これは「Zheng Fu」の頭文字をとったもの。
漢字で書くと「政府」。

そのほか、よく見かけるのは「河蟹」。
河に棲む蟹のことだけど、この言葉は発音に意味がある。
発音は「hexie」。
和諧(hexie)と同じ音。



中国語の「和諧」は、日本語の「調和」を意味する。
中国共産党の胡錦涛政権は、その中核的な政治理念として、「和諧社会」(調和社会)というスローガンを掲げている。
ウィキペディアによれば、「和諧社会」(調和社会)とは、 

和諧社会とは、中国共産党が2004年に発表した各階層間で調和の取れた社会を目指すというスローガン(中略)
中国は、階層間・地域間の格差の拡大、環境汚染が深刻化している。そのため、和諧社会というスローガンを打ち出すことによって社会不安を抑える狙いがある。


つまり、そもそも「和諧」(調和)は、前向きな意味に使うべき言葉だ。
ところが、ネットではいつの間にか、ブログや掲示板の書き込みが規制に引っ掛かって削除されることを、「和諧」と称するようになった。この意味での「和諧」は、「被和諧」と受身形で使われる。
要は、「(政府にとって都合のよい状態に)調和される」という皮肉である。

実際の使用例は下のとおり。

beihexiele.JPG
訳:「わたしの書き込みが調和されちゃった」


その後、この「被和諧」の用途は広がって、サイバー警察によってサイトが閉鎖されたり、IDを抹消されたりすることも「調和される」と言うようになった。さらに、

Googleが中国から追い出されたら、「googleが調和された」
ウィキペディアが国内から閲覧不能になったら、「ウィキペディアが調和された」
歯に衣着せぬ発言をする奴がいたら、「おまえ、調和されるぞ」

というように、様々に使いまわされている。

「調和される」があまりにも有名になってしまったので、さらにそのスラングとして作られたのが「河蟹」(hexie)というわけ。まあ、この「河蟹」も今や公然の隠語になってしまったけど。

あとは、隠語ではないけれど、微妙な内容を書く時には、当局のスクリーニングにかかりにくくするための工夫をする。単純なものでは下の例。これは、今年4月20日に上海で発生したトラック運転手数千人によるストライキ&デモに関するネット上の書き込み。このとき政府は大量の警察官を投入してデモを鎮圧し、更に、この事件に関するネット上の掲示板の書き込みをほとんど削除させた。

11.JPG

中1共は、中共。つまり中国共産党。
罢1工は、罢工(bagong)。ストライキを意味する。
上海政11府、というのは見れば分かりますね。

日本でも純然たる不穏当語が隠語化される例は散見される(たとえば、炉利、クリスタル、など)。中国の場合、使用をはばかる語の範囲が日本よりも広いので、隠語化される語の範囲も日本より広い。

ただし、こういうのもすぐにスクリーニング項目に加えられてしまうだろうから、いずれは当局のサイバー警察によって撥ねられてしまうだろう。そうなれば更に次の隠語が出てくるわけで、いたちごっこだ。
中国のことわざに、
「上に政策あれば、下に対策あり」
というのがある。
ネットの世界でも同じらしい。





posted by 陳ゆう at 13:14 | 雑記帳 インターネット事情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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