2005年02月19日

中国個人旅行のすすめ

中国は、実は個人旅行が容易な国だ。

以前は、いたるところに非開放都市(外国人が自由に立ち入れない地域)が設定されており、外国人がうっかり入ると罰金を取られたりしたが、今は開放政策の影響か、チベット圏や軍事上重要な地域を除いて殆どの都市が外国人旅行者に開放されており、大体どこでも自由に行くことができる。


中国が旅行しやすい5つの理由


1.中国は治安が良い


中国は、発展途上国の割には治安が良い。

特に、上海などは、今や東京よりも治安が良いと思う(多くの在住日本人がそう感じている)。
泥棒やスリの類は少なくないが、いわゆる凶悪犯罪はそれほど多くはない。

これはひとえに、強大な警察力のおかげだと思う。
こちらの人は、警察をホントに怖がっているので、結構おとなしい。
そして、街の警官は、随分と威張っている。
(もちろん、親切な警官もいる。いずれ、私の110番通報体験記を書くかもしれない。)

もっとも、大都市を離れると相当に危険な地域もある。
外国人はみな金持ちと思われているので、日本人であることをあまり表に出さないほうがいいかも知れない。
それでも、普通に気をつけていれば、欧米の旅行に比べて特に危険が大きいということはない。少なくとも、米国よりは安全だと思う。




2.普通の中国人は意外に外国人に親切

地方に行けば、外国人は珍しがられて、いろいろと世話を焼いてもらえることが多い。
現在の中国は外国人であふれているが、ほんの少し前までは、中国にいる外国人は、しかるべき機関の招待状を取得して入国した人ばかりだった。
外国人は皆重要人物扱いだった時代が少し前まであった。

日本人が嫌いだという人でも、実際に日本人個人を目の前にすれば、少なくとも表面的には結構親切である。
反日感情の特に強い人もいるが、そういう人は一般に中国の思想教育に忠実な人であり、つまりは「優等生」であることが多い。したがって、単なる旅行者に対して無意味に失礼な振る舞いをすることは、逆に少ない。(東北地方や南京などはまたちょっと違うようだが)


3.ホテルは全国どこでも現地で簡単に見つかる

中国は、宿泊施設が非常に多い。
大都市ならば、上は外資系高級ホテルから、下は簡易宿泊所のようなものまで、町中どこにでもホテルがある。そして、どこもたいてい空き室がある。

電話で予約もできるが、予約なしでも全くかまわない。
直接行って、フロントで「部屋ありますか?」と聞けば、普通、ある。

値段については、フロントの横に出ている料金表は全くの建前なので、交渉が必要。
最初に黙って料金表を指差されても、とぼけて「いくら?」と2回くらい尋ねれば、料金表の2/3から半額程度の金額を言うことが多い。
また、「会社が払うのか? 個人で払うのか?」と聞かれ、「自分で払うんだ。」と答えたら安くなったこともある。
有名観光地では吹っかけられることが多いが、競合するホテルも多いので、よそに行く振りをすれば安くなることもある。以前、海南島のホテルで、電話で問い合わせたら「550元」と言われたが、「ちょっと考える」と言って受話器を置こうとしたら、いきなり「330元!」と早口で言われた。
大体こんな感じなので、あとは御自分でいろいろ体験して頂くと面白いと思う。

なお、上海など大都市の比較的良いホテルなら、吹っかけられるということはない。多くの場合、最初に相手が答えた値段が、すなわち宿泊可能な値段である。
こういう場合に、中国だからと言って、しつこく値段交渉をおこなうと、逆に軽蔑されるので注意。


ホテルのランク


ホテルと言っても、もちろん上から下まである。
中国では、国家旅行局が公式にホテルのランク付け(1つ星〜5つ星)をおこなっていて、フロントの後ろに掲げてある金属プレートに、認定された数の星が並んでる。
バックパッカーでない普通の日本人旅行者が許容できるレベルのホテルは、おおむね3つ星以上のホテルである。


外資系のヒルトンやリッツカールトン、フォーシーズンズなどはもちろん最高ランクの5つ星である。その他、国営の高級ホテルにも5つ星ホテルはある。
このランクになると、インテリアもセンスが良く、清潔で、安全で、複数のレストランが併設されている。
値段はツインで1部屋600元くらいから、上は際限なし。

その下のランクの「3つ星」と「4つ星」が標準的な個人旅行用ホテルだと私は思う。
そこそこ清潔で、日本人でも特に不満は感じずに泊まれるレベル。
3つ星ホテルと4つ星ホテルの実質的な違いはあまりないが、しいて言えば、ロビーでピアノの生演奏をやっているのが4つ星ホテルである。
値段は地域によって大きく異なるが、大体200元から500元くらいの間。3つ星はおおむねこの範囲の前半で、4つ星は後半の価格帯である。

2つ星、1つ星になると、かなりローカル化してくる。
しかし、このレベルでも、中国では「星級ホテル」ということになり、「まあまあのホテル」ということになっている。
日本人の基準に照らして許容できるかどうかは一概には言えない。このレベルでも、小奇麗で快適なホテルはいくらでもあるが、許しがたいレベルのものもある。
値段は大体140元から250元くらい。

この下に、更に「星なし」のホテルもある。その多くは古く、清潔感を欠く。
しかし、中には結構快適なところもある。

いわゆるホテル以外にも、「招待所」といわれる宿泊施設(実質的には安ホテルみたいなもの)や、「旅社」「旅館」と呼ばれる簡易宿泊施設も多い。
このレベルになると、治安上の理由から、法律により外国人の宿泊が認められていないところも多い。


その他、ホテルについて

3つ星以下のホテルでは、男性一人で宿泊していると、しばしば「マッサージ」の売り込みの電話がかかってくる。
そちら方面がお好きな方はご検討いただくのも宜しいかと思うが、最中に警察に踏み込まれた場合、一晩警察にお泊りで、罰金5000元が相場となっている。
もっとも、中国人男性なら数日拘束されることもあるので、外国人には甘いと言える。
ちなみに、相手の女性は、裁判抜きで3ヶ月の労働改造所(「労働により人格を改善する」という施設)送りである。

ついでに書けば、中国のホテルでは、たまに警察による「査房」がある。
「査房」というのは、ホテルの部屋に警官が片っ端から踏み込んで検査する、という荒っぽいもので、その主たる目的は売春行為の摘発。これでつかまる日本人は結構多い。
こちらでは、警官は令状がなくても自由にホテルの部屋に踏み込んで検査することが出来る。
「査房」は通常深夜11時過ぎ頃に実施されるが、朝5時に踏み込まれたという例もある。
中国はこの種の誘惑が結構多いが、注意が必要。




4.交通機関が発達している

中国は、人が多いだけあって、交通機関が発達している。


長距離バス

なかでも私のお勧めは長距離バス。
隣り合った省都の間には、必ず快適な大型バスの路線がある。
省都からは、省内の至る所に向けてバス便が設定されている。

特に、広東省内の長距離バスは素晴らしい。
ハイデッガーというのか、窓の位置の高いトイレ付の高級バスである。日本のバスよりも快適かも知れない。私は個人的に「広東省極楽バスの旅」と呼んでいる。

一方、内陸部では、時間が不正確だったり、強烈にボロいバスにすし詰めにされたりもするので、注意も必要。
田舎に行くと、時刻表上の時間は一応書いてあるだけで、実際の到着時刻は運転手の気分により決まる。
所要4時間とあっても、ゆっくり走るのが好きな運転手だったら、7時間くらいかかることは良くある。それでも乗客は誰も文句を言わない。


長距離バスの車内では、映画や音楽番組を放映している。
広東省内では、香港映画が多い。
私は、バスでよく見ているうちに、香港のラブコメ映画が結構好きになった。

ちょっと困惑するのは、戦争物の映画が結構多いことである。特に、北方では多い。
中国の戦争映画には、かなりの確率で旧日本軍が登場する。
こういう状況になったとき、私は携帯電話の電源を切っておく。

日本軍と戦うために出征した恋人の戦死にヒロインが涙ぐむシーンで、周りの中国人が真剣に見入っている最中に、
  「はい、もしもし。」
などと言うのは、別に実害はないと思うが、私としてはやはり避けたい。

長距離バスは、チケットを取るのも容易である。
鉄道の場合、当日ではチケットが取れないことも少なくない。その点、バスならば、早起きすれば当日でもまず間違いなくチケットが手に入る。
私の一押しである所以である。

ただし、四川省や雲南省などの田舎に行くと、日本ではありえない程の凄まじい断崖絶壁の道路を走行することがある。地形のスケールが日本とは違うのだ。
殆ど垂直の絶壁に刻まれた、ガードレール無しの細い道路を、当地の運転手は平気でガンガン走る。落下したら、数百メートルを一気に滑落する。こうなると、飛行機の墜落とあまり変わらない。
ときどきテレビのニュースで、四川省のどこそこでバスが落下し、「乗客乗員26名全員死亡」などとやっているが、一回そのあたりの地域を旅行してみると、全員が死亡する理由が良く分かるようになる。
対策としては、険しい山岳地帯には雨季を避けて行くことや、夜行のバスに乗らないようにすることが有効だと思う。


鉄道

鉄道も、チケットさえ取れれば便利である。長距離なら食堂車もついている。デッキに出れば、タバコも吸える。
寝台車も日本と比べれば格段に安いので、寝ている間に長距離を移動できて便利である。
安く旅したいなら、「硬座」と呼ばれる普通車に乗るのが良い。
しかし、夜行の「硬座」に乗っている人々は農村からの出稼者が殆どなので、心構えなく乗ると、一晩にして一生忘れらない経験をすることになる。詳しくはまたの機会に詳述するかも知れない。



航空網も整っている

時期によってはチケットが取り難いが、一人旅ならば、空港でキャンセル待ちをすれば、まず間違いなく乗れる。
キャンセル待ちのコツは、絶対にカウンター前を離れないこと。
忘れられる可能性もあるし、あとから来た人に順番を取られる。
カウンター上の目立つところに荷物を載せて、存在を主張し続けることが大切。
一人なら必ず乗れるので、諦めないこと。


飛行機使用の場合の最大の問題は、空港アクセスである。
大都市ならばバスがあるが、地方の空港では白タクしかいないところもある。
こういうところでは、覚悟を決めて一戦を交えるしかない。

白タク利用の場合、乗車前に料金交渉が成立しているにも拘らず、目的地に到着するまでずっと金銭のことで揉め続けることが間々ある。
こういう場合、相手の上乗せ要求は30元とか、50元とか、その程度なので、正直言えば払ってしまったほうが楽である。

しかし、こういうところで「日本人くみ易し」と思われると、あとから来た日本人にも被害が及ぶので、私は絶対に応じない、絶対に、である。

皆様におかれても、こういう場合には、是非とも気を強くもって、断固たる対応をしていただくよう切に希望したい。こういうところで、日本人が舐められるのは耐え難い。
「日本人は手ごわい」という評判が国際的に定着するまで、心して対応すべきであると思う。

なお、中国の国内便には、割引チケットの設定がある。
空港のチケットカウンターでも、運がよければ最高4割引で購入できる。
朝早かったり、夜遅かったりする便は、当日でも割引チケットが入手できる可能性が高い。



5.交通機関、宿泊、食事、すべて安い

安いと言うことは、あまり金が無くても旅行できるということと同時に、普通に金のある人にとっては贅沢な旅行が可能ということを意味する。

つまり、普通の日本人の経済力があれば、誰でも、快適で、安全で、迅速な旅行が可能である。
高級ホテルにとまって大名旅行がしたい向きにも、中国はお勧めである。ただし、大都市圏と有名観光地に限られるが。
それ以外の場所にも行きたいとか、手付かずの自然に接してみたいという場合には、大名旅行は諦めるほかない。こういう場所では、快適さを金で買うことが難しい。
たまにはそういう所にいってみるのも、また良いものだと思う。




posted by 陳ゆう at 05:53 | 雑記帳 個人旅行について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする