2005年08月06日

公開銃殺

中国には公開銃殺の制度がある。
中国では刑罰は「見せしめ」の要素が強い。目の前で犯罪者が処刑されるところを見せれば、犯罪防止の効果があるということらしい。国民教育の一環として行われているのだ。

(公開銃殺)

少し前までは、公開銃殺をする前に死刑囚をトラックの荷台に乗せ、氏名と罪状と刑罰を書いたプラカードを首から下げ、拡声器でアナウンスしながら市中を巡回して人目にさらすということを普通にやっていた。
死刑執行を見物したい人々が、刑場までガヤガヤと後を着いていくそうだ。その人々の目の前で公開銃殺する。


以前、江西省出身の知人で、故郷で実際に公開銃殺をみた人から執行の様子を聞いたことがある。
死刑囚を乗せたトラックが先頭に立ち、その後ろに銃殺後に死体を埋めるためのブルドーザーが続き、見物人はその後ろを走って追いかけて行くのだそうだ。
特に、子供は大喜びでついていくらしい。
死刑執行の現場は大変な人だかりとなる。後ろの人は良く見えないので、見物人どうしで喧嘩になることもある。
大衆にとっては、娯楽のひとつなのかも知れない。

以上は1980年代の話である。
さすがに最近は「市中引き回し」はやっていないようだが(と、ある裁判官がネットで書いていた)、公開銃殺自体は今でもやっている。

『毎日新聞ネット版 2002年6月26日』
中国:麻薬の容疑者16人に死刑判決、即日執行 体育館で公開銃殺
 新華社電(電子版)によると、中国福建省の福州、泉州、蒲田の各市法院(地裁)で25日、八つの麻薬犯罪に問われた25被告に対する判決公判があり、うち16人が死刑を言い渡され、即日執行された。
 同電は「国際的な麻薬撲滅運動の一環」と報じた。同省中心都市の福州では同市連江県の体育館に数千人が集まり、6人の銃殺刑が公開執行された。地元警察当局は押収した覚せい剤など約1トンを大鍋10個に入れて焼却したという。

数千人が集まるというのも凄い話だが、少し前までこんな事はそこら中でごく普通にやっていたのだ。


(死刑執行の方法)

中国では法律上、「死刑は銃殺、薬殺などの方法で執行する」ことになっており、必ずしも銃殺によらなくてもよいのだが、今のところ銃殺刑が多い。
銃殺が利用される理由の一つに、費用の問題がある。薬殺用の薬品は北京で厳重に管理されているので、地方都市で死刑を執行する場合には、薬品の運搬に手間と費用がかかる。郵送するわけにいかないし、途中で事故があってはならないので、死刑執行のつど複数の人員で執行地まで薬品を届けなければならない。その費用は馬鹿にならない。
その点、銃殺ならば、迅速かつ安価に執行できる。

中国の死刑執行方法の歴史と現状については、こういう資料がある。
http://www.smcourt.com/co105.htm
これは、中国福建省アモイ市の裁判所のホームページに掲載されている論文なので、一応信頼性は高いと思う。読んでみるとなかなか興味深い。

これによると、1996年3月の全人代で刑事訴訟法が改正され、同法212条の「死刑執行の方法」についても改正がおこなわれた。
以前は「死刑は銃殺による」と定められていたが、改正により「銃殺または注射による死刑などの方法」により執行すると改められた。

1998年、改正後の刑事訴訟法に基づいて、初めての薬殺による死刑執行が雲南省昆明でおこなわれた。その時の死刑囚は50代の女性で、罪状は姦通および夫を毒殺した、というものであった。

「注射を開始してから犯人の死亡を確認するまで僅か数分であり、法医学者の観察によれば、執行の過程において、死者には明らかな苦痛の様子は見られなかった。死後の死体には何らの異常もなく、眠っているようであった」と、この論文は書いている。

その後、2000年代に入ってから、中国の最高裁判所は北京、成都などいくつかの地域を指定して、薬殺による死刑執行を試行するよう指示した。
2000年5月には、成都で薬殺により8名の死刑執行に成功し、続いて北京でも成功した。

この論文の著者は、
「世界の法医学者は、毒殺による死刑が今のところ最も文明的な死刑執行方法であると考えているが、この方法を採用しているのは、全世界で2つの国のみである。すなわち、中国とアメリカである」
と述べている。
つまり、中国は先進的であると言いたいらしい。

更に、この論文は次のように述べている。
「現時点で、全世界で刑法上まだ死刑がある国家は126ある。死刑執行の方法は様々である。現在、主に、絞首刑、石刑(石をぶつけて殺す)、電気刑、斬首、毒ガス、銃殺、注射による死刑、などの方法がある。そのうち、銃殺と絞首刑が最も主要な執行方法となっており、銃殺を採用している国は86、絞首刑を採用している国は77である。一世紀と少しの間、法律学界は死刑の存廃についてずっと激烈な論争をおこなってきた。多くの国家が死刑を廃止したが、これらの国々も、しばらくすると死刑を復活させている。それでも、死刑執行の方法は、人道的な、より苦痛のない方向に向かって発展してきている。これは一種の必然である。
もっとも、現在中国の一般大衆は異なる考えを持っている。中国の一般大衆の意見としては、死刑になるような重罪人にそこまで配慮するのは却って正義を書くのではないかと考えている」








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posted by 陳ゆう at 00:01 | 雑記帳 異聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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