2005年08月07日

台風の日に思う

上海、というか、中国の不動産物件の一番の特徴は何かと言うと、
「漏水」、「雨漏り」、
この2つに言い尽くされている。

さて、今は8月6日の夜10時30分で、窓の外では1997年以来と言われる強力な台風が吹き荒れている。政府当局からは、既に「黒色警報」が発令されている。
当然、窓は締め切っているが、窓際の床は窓枠から漏れ入った雨でびしょびしょだ。
これを書いている足元にも、水がたまっている。

この建物、7年前に建てられ、2年前に内装全面改装済み。
にも関わらず、この体たらく。
どういう工事をすると、こういう窓枠がつくれるのか、是非詳しく聞いてみたい。
私は頭に来ているのである。

むかし住んでいたマンションもひどかった。
そのマンションは都心部にある外国人対象の高級マンションであった。
東京で言えば古くは広尾ガーデンヒルズとか、アークヒルズとか、そのクラスのマンションである。
しかし、約半年に一度の間隔で、壁から水道水が噴出した。

こちらに住んだことの有る人なら誰でも身に染みて知っているが、当地の建築工事のレベルは殆ど日本の小学生の工作なみのレベルである。

ペンキを塗れば、1センチくらい平気ではみ出す。
日本なら普通マスキングをして綺麗に塗装するだろう。
こちらの施行業者はそういうことには殆ど関心がない。

なぜこういうことになってしまうのかというと、工事をしているのが、いわゆる「民工」だからだ。
「民工」というのは、「農民工人」の略で、農村からの出稼ぎ労働者を指す。
中国の建設工事や、工場の労働は、殆どこれらの出稼ぎ農民によって担われている。

一方、都市部出身の人は、この種の職業を徹底的に軽蔑しているから、こういった身体をつかう職場には就業しない。

中国には、「戸口」(一種の戸籍制度だが、固定的なものなので、どちらかというと「身分制度」という感じに近い)という制度があり、出生地によって就業ができる地域が制限されている。
農民に生まれたら、基本的には一生農民なのである。
(大学に合格した場合などの例外はあるが)

都市部の企業は当地の戸口所有者を歓迎するので、都市部の戸口を持っている人にとっては、極めて有利な制度である。
生まれながらにして、有利な身分が法律上保証されているのだ。
したがって、上海などの都市戸口を持っている者は、通常、いわゆる身体を使う職業には就かない。
こういうこともあって、都市部出身者は、建築労働者等やレストランのウエイターと言った職業の人達(多くは農村からの出稼ぎの人達)を蔑視している。

一方、農村からの出稼ぎ者は、誰もが嫌がる3K仕事にしか就けない、という仕組みになっている。
そして、その給与も非常に安い。
当然、住居などは確保できないので、毎日、自分が作っている建物のなかでごろ寝している。
もとが農民であるから、建築作業の経験などない。
戸口によって居住地が制限されているから、1、2年の間出稼ぎをしたら、多くは田舎に帰ってしまう。経験の蓄積は殆ど不可能である。
したがって、小学生の工作なみの工事になってしまうのも無理はないのである。

日本あるいはドイツのような「職人」という概念は、基本的に現代の中国には存在しない。
むかし、どこかの国の偉い人が、「国のレベルは配管工事のレベルに現れる」というようなことを言ったと記憶している。
おそらく、こういう国では身体を使う労働にも一定の社会的地位が認められていて、通常レベルの生活をすることが可能なのだろう。

中国人にとって、建築工事やレストランのウエイターなどの身体を使う仕事は、あくまで「農民がやるような低劣な仕事」でしかない。
結果、このような劣悪な工事ばかりになってしまうのだ。

この「身分制度」を何とかしない限り、上海のマンションの水漏れと雨漏りはなくならないに違いない。



posted by 陳ゆう at 00:08 | 雑記帳 中国の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする