2005年10月24日

祝!チベット鉄道全線完成

10月19日、青海省の西寧からチベットのラサまで全線で1956キロのチベット鉄道(中国語では「青蔵鉄路」)が完成した。上海や北京、香港などから鉄道だけでラサまで行けるとは、大したものである。
正式営業は2007年7月1日とのことなので、まだ少し時間がかかるが、営業開始の暁には是非とも乗ってみたい。
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チベット鉄道
新華社によるチベット鉄道のフォトページより)

チベット鉄道の第一期工事は1958年に始まっている。1984年には青海省内の西寧からゴルムドまでの846キロが開通した。
しかしその後は、ゴルムドから南山口までの32キロは建設されたものの、ラサまでの残りの1110キロは難工事のため、完成が遅れていた。今回開通したのはこの第二期工事で、結局あわせて47年をかけて青海省からラサまで鉄道が通ったことになる。

これまでは、チベットへの陸路のルートはバスだけで、時間もかかるし(一番距離の短い青海省ゴルムド−ラサ間の青蔵公路経由でも40時間くらいかかった)、途中の事故や高山病などのリスクも多かった。
チベット鉄道の完成は、こういった問題を一挙に解決する。

チベット鉄道は海抜世界最高、そして高原鉄道としては運転距離も最長の鉄道である。
全線1956キロのうち、約半分の960キロが海抜4000メートル以上を走る。最高地点は唐古拉山で、海抜5072メートル。これまで世界で最も高い地点を走っていたアンデス鉄道の最高点より約200メートル高い。また、全線のうち550キロは永久凍土の上を走る。

新華社ラサ支局の報道によれば、チベット鉄道には9つの世界一があるとのこと。

1、海抜が世界最高(海抜4000メートル以上が960キロ)
2、高原鉄道としては世界最長の距離
3、永久凍土の上を走る距離が世界の高原鉄道中で最長
4、唐古拉山山駅(海抜5068メートル)は、世界の鉄道駅のうちで海抜が最高
5、風火山トンネル(海抜4905メートル)は、世界のトンネル中、海抜が最高
6、昆崙山トンネル(全長1686メートル)は、高原鉄道としては世界最長の永久凍土トンネル
7、安多鋪架車両基地は、世界で最高海抜の列車基地
8、清水河特大橋(全長11.7キロ)は、世界最長の永久凍土陸橋
9、開通後の速度(通常区間時速120キロ、永久凍土区間時速100キロ)は、永久凍土を走る高原鉄道としては世界最速

他にもまだありそうな気がするが、とにかく「よく作ったな」、という感じである。
この地域に関しては、政治的には未解決な問題もまだ残っているが、まずは素直に「すごいですね」と言いたい。

現在、チベット地域との間の貨物輸送はトラック輸送が殆どで、その他の主な輸送方法としてはゴルムドからラサまでのパイプラインによる燃料輸送がある程度である。また、航空輸送は増えてはいるが、その輸送量は多くはない。航空輸送して元が取れるほどの製品はチベットには少ないのだろう。
新華社の2005年2月21日報道によれば、チベット鉄道の開通により、2010年の時点でチベットから運び出される年間貨物輸送量280万トンのうち、210万トン(貨物総量の75%)が鉄道輸送になると予測されている。


1日のうちに四季がある

新聞晩報の記者が試運転に体験乗車した際の記事(2005年10月16日 新聞晩報)によれば、チベット鉄道の乗客は1日にして四季を楽しめるらしい。

夏 − ゴルムドは海抜が3200メートルあるが、昆崙山脈により寒冷な高原気候が遮られているため、夏には気温が最高32度に達する。秋も深まっていたが、出発の際には樹木にもまだ緑の葉がある。3200メートルという高度も、息苦しいことを除けば、観光客にとって大した障害にはならない。

冬 − 出発して1時間も経たないうちに、気候は大きく変化する。ゴルムドから80キロの地点、汽車はひたすら高度を上げていく。崑崙山口を過ぎると、ココシリ(可可西里)に入る。このあたりになると厳しい寒さがやってくる。ココシリの地下は永久凍土である。夏の最高気温は5度。冬の最低気温は零下30度。鉄道は凍土の上に建設されている。そのうえ海抜は5000メートル以上。高原で生活しているチベット族でも重い高山病にかかることがある。このあたりがチベット鉄道の冬の区間である。

秋 − 汽車は更に高度を上げ、唐古拉山脈に達する。出発後6時間で列車は安多に到着する。ココシリに比べれば気温は少し上昇する。チベット鉄道の秋の区間である。

春 − ゴルムドを出て10時間後、列車は羊八井に到着し、その後ラサに至る。地形は平坦で、海抜は3500メートル程度。チベット鉄道の春の区間である。


さらなる延伸計画

チベット鉄道の計画は、実はこれで終わりではない。
今後10年以内に、ラサから先に、更に3本の支線が建設される予定である。
東に向かう支線はラサから林芝まで、西に向かう支線はラサから日咯則(シガツェ)まで、南に向かう支線は日咯則(シガツェ)から亜東まで、が計画されている。
これらの支線が完成するとチベット鉄道は大きなY字型となり、全長は2000キロを超える。
(チベット鉄道ネット 2005年10月21日付記事 新京報より)。


豪華客車も登場

高山鉄道というと心配なのが高山病であるが、チベット鉄道では気密構造の車両を使用して客車内の与圧をおこなう。

正式開業後は普通列車と観光列車の2種類の列車が走る予定である。普通列車は一般の乗客を輸送するのが目的であり、純粋な交通機関となる。一方、観光列車は旅行客のために特別の配慮がなされる計画である。
タイタニックのような豪華客船をイメージした豪華車両を使用し(筆者注:これは言い過ぎではないか?)、景色が綺麗な地点では一時停車して乗客を下車させ、写真をとることもできるらしい。
「豪華列車には個人用と家族用のコンパートメントがあり、快適で可動性のソファが設置され、窓には紫外線防護膜つきのガラスを使用する。サービスも周到かつ親切である。乗車した感覚はまるで5つ星ホテルのようであり、コーヒーを飲みながら、楽々とチベットに入ることができる」とのことである。車内で医療サービスも受けられるらしい。
この豪華列車は「7億元(約100億円)の価値がある車体」であり、「豪華5つ星ホテルを参考にして製造され」る。
チベット鉄道会社は、この豪華客車により年間延べ90万人の乗客を輸送する計画であるとのこと。
(チベット鉄道ネット 2005年10月21日 新京報より転載)

そんなこと言っても、中国クオリティーで、海抜5000メートルの所で突然酸素の供給が止まったりしないか、とご心配な方もいるかも知れないが、その点は大丈夫なようである。この気密構造の客車は、カナダのロンバルディア社(航空機メーカー)の技術協力を受けて製造される。
ロンバルディア社は中国の青島に合弁企業を設立し、中国の機関車・客車メーカーと共同でチベット鉄道の客車を製造する。
ロンバルディア社の在中代表である張氏によれば、各客車には2系統の酸素供給システムが設置される。そのうち1系統はエアコンシステムに酸素を混入する方式であり、客車内の酸素含有率を23%まで引き上げる。他の1系統は、飛行機の救急酸素マスクのようなものになるらしい。

この客車を引く機関車はディーゼルエンジンを使うが、自然条件が厳しいので、エンジンへの酸素供給システムや起動性能、ブレーキシステム、暖房能力、などの12項目について、特別に開発された新技術を採用するとのことである。


チケットのお値段は

これだけの設備であるから、チケット代ももちろん普通の列車よりも高くなる(気密構造だけでもそのコストは大変なものだろう)。
しかし、運賃についてはまだ発表されていない。
参考までに、上記のチベット鉄道ネットの記者は、ゴルムド−ラサ間のエアチケットが1700元程度、バスは120元から500元程度であることを前提とすると、上海−北京間の豪華列車(1463キロ 二等客車327元、一等客車499元、コンパートメント911元)よりも安いことは無いだろうと予想している。


私は2007年まで中国にいるか分からないのだが、仮に日本に帰国していたとしても、絶対に乗りに来るつもりである。





posted by 陳ゆう at 23:02 | 雑記帳 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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