2005年01月23日

青海省・青海湖

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青海省は山の中


青海省は、その名称に似合わず中国の内陸部にある。チベット自治区に隣接している。
平均標高は3000メートルで、そのうち標高4000〜5000メートルの地域が総面積の54%を占めている。
最低標高は1650メートル、最高標高は6860メートル。中国の2大河川である黄河と長江は、いずれも青海省に源流を持つ。

上海に来たばかりのころ、近所のレストランのウエイトレスさんが青海省の出身だった。上海からの距離で言えば青海省は東京よりも遠い。そんな遠くから、はるばる汽車に乗って上海まで出稼ぎに来るのは、きっと大変だろう。がんばってね、という感じである。

その青海省まで旅行することになった。

上海から、まずは汽車で甘粛省の蘭州まで約2日の行程で、甘粛省の中心都市である蘭州市に到着。蘭州で一泊した後、バスで青海省の省都西寧に向かった。
蘭州から西寧までは、時刻表によれば僅か4時間のバスの旅。しかし、このとおりに事が運ぶほど中国のバスは甘くない。

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蘭州バスターミナル前


中国の地方の長距離バスは、出発時刻になっていても、ある程度の客が集まるまで出発しないことが少なくない。
地方の長距離バス会社では、稼ぎ、つまり集まった運賃に応じて歩合給が支払われる仕組みになっているところがある。それゆえ、運転手は、何とかして定員近くまで乗客を集めようとする。
しかし、最近は中国のバス会社も社内規則が厳しくなっていて、バスはターミナルを定時に出発しなければならないことになっている。

もしも定刻になっても乗客が少なかったら、運転手らはどうするか?
 
@ まず、ターミナル前の路上、あるいはターミナル入り口で客を集めようとする。バスは出発したあと、ターミナル前の道端に寄せられ、切符売りの兄ちゃんらが、ターミナルに入っていく客に声をかけ、バスに乗せようとする。蘭州バスターミナルでは、40分程度これをやっていた。

A ターミナル入り口での客引きが一段落すると、次にバスは市内巡回モードに入る。
窓から顔を出して行き先を叫びながら、自転車程度の速度で街を巡回する。大きな荷物を持って歩いている人物がいるとバスは寄って行き、どこに行くのか質問する。
そんなに都合よく何百キロも離れた街まで行く乗客が見つかるものなのかと疑問に感じる向きもあろうが、たまにはこの方法で捕獲される乗客もいる。今回は、1時間近くの間、蘭州の街を徐行で走行していた。

こういう一連のごちゃごちゃが終わった後で、バスはようやく蘭州の街を後にした。
バスの中では眠ってしまったので道中の様子は良く分からないが、主として山岳地帯を走ったようだった。
唯一印象に残っているのは、あんな僻地の山の中でも、高速道路の建設をしていたことだ。この国の発展の凄まじさを感じた。

余談になるが、中国に住んでいて感じるのは、国家建設とは、「言語の統一と土木工事」であるということ。
中国では今、あの広い国土のいたるところで高速道路の建設がおこなわれている。また、中華人民共和国建国以来の標準語教育の成功については、多言を要さない。国家建設を目前にできるというところも、中国で生活する魅力のひとつだと感じる。

西寧には、夕刻に到着した。
青海省は、実はチベット文化圏に属している。現在、普通に「チベット」と言うと、中華人民共和国の行政区分に従った「チベット自治区」を指すが、歴史的・文化的に見ると、「チベット」とは、「チベット自治区」に加えて青海省および四川省の西半分を含む地域を言う。
実際、西寧にも多くのチベット人が居住しており、街のいたるところでエンジ色の僧衣をまとったチベット仏教の僧侶を見かける。

また、青海省はイスラム圏でもある。中国の有名なイスラム圏は、自治区として認められている新ジャンウイグル自治区および寧夏自治区だが、その周囲の各省にもイスラムの影響は色濃く出ている。
具体的には、甘粛省と青海省には多くのイスラム教徒が居住しており、多くの有名なイスラム寺院があり、街でも白い帽子をかぶったイスラム教徒を多く見かける。
これらの少数民族が青海省の総人口に占める割合は、チベット族が21.89%、回族が15.89%とのこと。

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西寧駅前 (白い帽子のイスラム教徒の姿が見える)


現地で見つけた3つ星ホテルにチェックインし、旅行社に行って翌日の青海湖1日ツアーの申し込みをした。

青海湖はこの旅の最大の目的地だが、公共交通機関はないので、車をチャーターするか、旅行団に参加するしかない。貧乏旅行の私は後者を選択。翌日の出発は朝7時と早いので、ホテルの部屋でビールを飲んで、さっさと眠った。

翌日朝、旅行社のワンボックスカーがホテルまで迎えに来た。
ツアー参加者は総勢8人。私以外は中国人。
市内のいくつかのホテルを回って参加予約者をピックアップし、青海湖方面へ。しばらく山岳地帯を走ったあと、大草原に出た。

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ひたすら真っ直ぐな道。向こうに見える白い山を越えるとチベットかも


草原の中に、なぜか突然砂丘が出現する。この砂がどこから来たのか全く不明。青海湖と関係があるのだろうか?

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もうすぐ到着


砂丘を越えると、湖面が見えてきた。その名のとおり青い色をしている。

湖畔についたら昼食である。昼食はツアーに含まれていないので、各自その辺の食堂で食べる。私は牛肉麺か何か食べたんだったと思うが良く覚えていない。昼食の後は各自自由散策。2時間くらい湖畔を散歩した。遊覧船もあり、心を惹かれたが、うっかり乗ってバスの出発時刻までに戻ってこれないと悲惨なので、やめておく。

青海湖は中国最大の湖で総面積は4300Ku、周囲320km、湖面の標高は約3200メートル。塩湖であるが、舐めてみてもあまりしょっぱい感じはしなかった。

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青海湖


青海湖で遊んだあとは、往路とは違うルートで山岳地帯を抜けて西寧市内に向かう。

このあたりの標高は、大雑把に言うと、富士山の山頂と同じくらい。空気はかなり薄く、高山病の兆候が出てもおかしくはない高度だが、年配の人が一人不調を訴えただけで、その他の参加者は全く問題なかった。

途中、有名な日月山を通る。ここを越えると漢民族文化圏ということになっている(そうは言っても、西寧や蘭州も充分に少数民族文化っぽい土地だと私は思うが)。
その昔、チベットに嫁ぐことが決まった中国のお姫様が、この峠を越えるとき、僻地に嫁がなければならない自分の不運を想って涙した、とのことです。
日月山で少し休憩。

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日月山あたりの景色。このあたりで多分標高3800メートルくらいか。
彼方にチベットの山が見える。


我々の乗っているワンボックスはかなり年季が入っていて。サスペンションなどなきに等しい。そのうえ、山岳地帯でブレーキを多用するため、すぐにブレーキパッドが加熱してしまい、ブレーキが利かなくなる。したがって、スピードが出せない。
ときどき、運転手が車を止めて降りて行き、ポリタンクの水でブレーキを冷やしていた。
のんびりした旅を続ける。

途中で何台かのトヨタ・ランドクルーザーに追い抜かれた。ランクルにとっては、この程度の悪路など全く問題にならないようだ。
後ろから見ていると、サスペンションが見事に作動しているのがはっきりとわかる。さすが日本の技術である。チャーター料金から言っても、ランクルは最高額。

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現地で見ると、奥の岩山は息を呑む迫力。
「神を見た」という感じ。


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動物好きの向きにはこちらを。
こうしてみるとヤクも結構かわいい。


夕方暗くなった頃に西寧市内に帰り着いた。
西寧でもう一泊するか、汽車で移動するか迷ったので、とりあえず駅まで行って見る。

ちょうど寧夏回族民族自治区の銀川市に行く汽車があり、切符売り場に駆けつけたのだが、出発30分前を過ぎるとチケットは売らない決まりになっているとのことで、諦めた。
後になって人から聞いた話では、適当なチケットを買ってプラットホームまで入り込み、車掌に
「この汽車に乗りたい!」
と直訴すれば、なんとかなるらしい。
この頃はまだ、中国慣れしていなく、そんなことはとても実行できなかった。

とりあえず、蘭州まで戻ることにする。

蘭州に着いたあとは、適当な夜汽車もなかったので、市内のホテルで1泊し、翌日ふと思いついて西安に移動した。西安での話はまたいずれ。



posted by 陳ゆう at 23:14 | 旅の記録 青海省・青海湖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする