2013年08月24日

居留ビザ更新期間中の身分証明

ヤフーニュース(産経ニュース)のこの記事。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130821/chn13082122220005-n1.htm

『中国の新入管法、ビザ更新手続き長期化 外資企業に混乱も』
(2013.8.21)
中国で働く外国人やその家族の居留ビザ(査証)更新手続きにかかる日数が、7月に施行された改正出入国管理法で従来の5日以内から最長で3週間前後に延び、日本を含む外資系企業の間に混乱が広がっている。更新手続き中は国内でも航空機や列車利用、ホテル宿泊ができなくなるためで、ビジネスに支障が出始めた。(中略)

中国で外国人は、国際線のみならず国内航空便への搭乗、高速鉄道など列車への乗車、ホテルの宿泊にもパスポートの提出が求められる。

 手続きの長期化により、上海のある日本企業では、内陸部の工場で起きた事故への対応で、担当者を2週間近く現地に派遣できず、生産の一時停止に追い込まれた。また、手続きが間に合わず、一時帰国を断念せざるを得なかったとのケースも相次いで報告されている。



なんか不思議なニュースですね・・・


中国国内線の飛行機

まず、飛行機の搭乗に関しては、ちゃんと準備すればこのニュースにあるような事態は起こらないはずなんですが・・・
ビザの更新を申請した際に出入国管理局がくれるパスポート受取証(取证回执单)に顔写真をホチキスでとめて出入国管理局の割印を押してもらえば、空港のセキュリティーチェックで身分証明書として通用します。パスポートを所持していなくても飛行機に乗れます。むかしから皆そうしていますよね。
一度だけ広州の空港で係員がこの制度を知らずに手間取ったことがありましたが、最終的には乗ることができました。

この方法で飛行機に乗れることは、中国民用航空局の公式サイトにも明記されています。念のため下のページをプリントアウトして持っていけば、空港で揉めた時に役立つでしょう。
http://www.caacca.org/zcfg/zxgg/201307/t20130731_4431.html

公安出入境管理部门出具的《外国人取证回执单》不能作为有效乘机证明。但其上粘贴照片并加盖公安出入境管理部门的公章后可以作为有效乘机证明。

公安出入国管理部門が発行した「外国人パスポート受取証」は搭乗の際の身分証として使えないが、その上に写真を貼り、公安出入国管理部門の公印を押してもらえば、搭乗の際の身分証として有効である。


公安局でパスポートを預ける際に、「飛行機に乗りたい」と言って顔写真を差し出せば、係員があたり前のように手続きしてくれます。簡単です。

産経新聞の中国駐在員は、これまでビザの更新手続中は飛行機に乗らないようにしていたんでしょうかね。


ホテルの宿泊

ホテルの宿泊も、この写真と割印つきのパスポート受取証の提示でOKです。たまにフロントのスタッフがわかってくれないことがありますが、公安局に電話で確認してもらえばOKになるはずです。

ちなみに、ホテル宿泊時の身分証明については、2010年に公安部から具体的な通知が出ています。
关于对旅馆业旅客身份证件认定问题的批复 (公安部治安管理局 公治〔2010〕395号)
ここには、外国人の場合、おもに、

护照、外国人永久居留证、外国人出入境证、海员证、外国人护照遗失证明

パスポート、外国人永住証、外国人出入国証、海員証、外国人パスポート遺失証明

を身分証として使用できると規定されています。
ここには「写真と割印のあるパスポート受取証」は入っていないのですが、実質的にこれらと同等ということで認めてくれているようですね。

なお、パスポートのコピー(氏名のページと、直近の入国印のあるページ)を持っていくと、入国日と入国地点の申告に役立ちます。


鉄道

汽車の切符については、実名制になったのは最近のことなので、私自身はこの種の問題に直面したことがなく、よくわからないんですが。
下のリストは、鉄道部が規定している切符購入時に使える身分証の一覧です。

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「地方公安机关出入境管理部门开具的护照报失证明」でOKだと書いてあるので、これと似ていると言えなくもない「パスポート受取証+顔写真+出入国管理局の割印」でもよさそうな気もしますが。

「運転免許証」というのもありますね。こういう場合に備えて中国の運転免許証を取得しておくとよいかも。日本の免許証を持っていれば、実技試験免除の筆記試験のみで即日発行されます。大都市なら日本語で試験を受けられるところもあります。
ちなみに、話はそれますが、数年前までは香港のコンサルタント会社(中国のFビザで有名だったあの会社です)を通すと、筆記試験も受けずに中国の運転免許証を取得できた時期がありました。こうなると免許を取得するというよりも、免許を購入する、という感じですね。混沌とした面白い時代だったなあ…

領事館が発行した身分証明を鉄道公安部に持っていくと、汽車に乗るための「臨時身分証明」を発行してくれるとも書いてありますね。

こうしてみると結構なんとでもなりそうな気がするんですが、どうなんでしょう。
産経新聞さん、実際の運用等を取材してから記事にしてほしかったな。

一時帰国は・・・こればかりはどうしようもないですね。




posted by 陳ゆう at 00:38 | 雑記帳 中国の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月22日

銀川の街 雑感

銀川の街を散策。
銀川は、寧夏回族民族自治区の中心都市。「民族自治区」という名称のついた行政区分は中国にたくさんあるが、「省級」つまり、日本でいえば都道府県にあたる「省」と同格の「民族自治区」は5つだけ。回族のほかには、ウイグル族、チベット族、モンゴル族、壮族の各民族自治区。

ちなみに、回族(イスラム教徒)の民族自治区といっても、寧夏回族民族自治区の人口の3分の2を占めるのは漢民族。中国版Wikipediaには、寧夏回族民族自治区の人口構成について「主体民族:漢族、少数民族:回族」とにべもない説明がされている。

ちなみに、中国の5つの省級の民族自治区のうち、漢民族が「少数民族」である自治区はチベット自治区(漢民族は人口の7%)と新疆ウイグル自治区(41%)の2つ。内モンゴル自治区(79%)や広西壮族自治区(62%)では、モンゴル族や壮族は少数民族である。

もっとも、少数民族とは言っても、寧夏民族自治区の人口は600万人を超えるから、その3分の1でも200万人という数になる。決して「少数」ではない。「少数民族」というのはあくまで漢民族と対比しての相対的な物言いだ。

よって、銀川の街では、イスラム教徒に対する商売は大きなマーケットを持っていることになる。たとえば、台湾系の食品巨大企業「康師傅」のカップラーメンも、ここではイスラム教徒向けの特別バージョンになっている。写真の「清真」というマークは、イスラム教の教義に反しない食品であるという意味。

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話はそれるけれど、日本人は、中国では少数民族は漢民族から非常な迫害を受けてるかのようなイメージを持っている人が結構いる。しかし、実態は、そうでもない。国家の統治権に対する異議を述べたり、あるいは行動を起こさない限りは、少数民族はそれなりに大事にされているというのが素朴な印象である。

たとえば、さきほどの、「清真食品」。イスラム教徒は豚肉を食べることができない。中国の大学に留学した経験のある人はみな知っていると思うけれど、どの大学にも、大きな学生食堂のほかに、清真餐庁(イスラム食堂)がある。人口の2%程度のイスラム教徒のために、スペースと人を割いて食堂を設置している。少数民族はさらに、大学入学試験での優遇や、計画生育政策(一人っ子政策)に関する特例など、人生の節目節目で、相応の特別扱いを受けている。
これを懐柔政策であると紋切り型に評する向きもあろうけれど、生活保護費(シットダウンマネー)のように何もせずに受給できるものではなく、あくまでも自ら努力する者を補助する政策になっている点は正当に評価してもよいと私は思う。

銀川の街には、当然ながら、清真餐庁(イスラム食堂)がたくさんある。せっかくなので、目についた店に入り、メニューの一番上にあった牛肉麺を注文してみた。6元。結構おいしい。この麺、私が中国で食べたすべての麺の中で、もっとも日本のラーメンに似た味と食感を持っていた。なにか歴史的な関連性があるんだろうか。

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街では、看板に「漢餐」と書いてある食堂も見かける。こちらは、たぶん、豚肉を食べられるんでしょう。

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銀川の都心部は、人口600万人の自治区の首府にふさわしく、商業の発展した賑やかな街。大型のデパートが立ち並ぶ。一般の商店や飲食店もたくさんある。

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地下鉄はないけれど、名古屋の基幹バスのような道路中央の専用レーンを走るバスがある。道路中央付近にはこのバスに乗降するためのシェルターのようなバス停がある。各バス停には2人ずつ駅員(バス停員)がいて、バスが到着すると手動で乗降用の扉を開けてくれる。ずいぶん立派なシステムだ。

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このほかに一般の路線バスもあり、その運行頻度は非常に高い。ただし、夕刻にはものすごいラッシュになる。

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銀川にホテルをとるなら、空港バスの発着点となっている民航大厦あたりが便利だと思う。

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銀川に来た観光客なら誰もが足を運ぶ南関清真大寺まで徒歩数分。広い南門広場には夜店が出て、深夜まで人通りが多く、安心感がある。空港バス発着所の周囲には中級のホテルがたくさんあり、宿を探すのも容易。

南門広場のはずれには、小型の天安門のような建物が建っている。本物と同じように毛沢東の肖像が掲げられている。しかし、門に書いてあるフレーズは本物の天安門とは違っている。
ここに書いてあるのは「中華人民共和国万歳」と「中国共産党万歳」。
北京の天安門に書いてあるのは「中華人民共和国万歳」と「世界人民団結万歳」。
外国人観光客の数の違いが反映されているのか。

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夜は、ニセ天安門の前の広場に衣料品などを売る夜店がたくさん出る。露店の飲食店もある。席があいていたので、入ってビールを注文した。ビールはもちろん「西夏ビール」。つまみは近所のDICOSで買ってきたフライドポテト。写真が傾いているのは酔っていたからである。

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posted by 陳ゆう at 00:24 | 旅の記録 西夏王陵 / 銀川 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月20日

銀川 南関清真大寺

銀川市内にはさしたる観光スポットはないが、せっかくイスラム教徒の自治区に来たのだから、有名な南関清真大寺だけは見に行った。場所は、空港バスの終点である民航ビルから徒歩数分のところ。

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創建は明代に遡るが、文革の時代に破壊されたので、今の建物は1981年に再建されたもの。礼拝堂にはイスラム教徒以外入れないが、敷地内には入場料を払えば誰でも入れる。
入場料の窓口には「入場料12元、優遇価格10元」と書いてある。優遇してもらえる身分ではないので12元を差し出したら、入場料は10元であるとのこと。他の方の旅行記を見ても、同じくなぜか10元しか請求されなかったと書いてある。ならば最初から「入場料10元」でよいと思うのだが。もしかすると、何やらイスラム式の考え方があって、こういう聖なる場所では価格を優遇すべきものである、ということになっているのだろうか。そのための「定価」と「優遇価格」であるとか・・・

門を入ると中庭があり、その先の階段を上がったところが礼拝堂。

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礼拝堂の入口には、礼拝の時間を示す時計が設置されている。

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この日の夜、南関清真大寺の前をとおりかかったら、華やかな電飾が施されていた。日本人はこういうのを好まないかも知れない。しかし、信仰が生きている寺院というのはこういったものだ。多くの日本人が古びた寺院をありがたがるのは、風俗習慣のレベルでしか信仰をとらえていないからである。銀川のイスラム教徒にとって寺院は「文化財」ではない。

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と、ここまで書いてきて気がついた。
上の写真の「銀川南関清真大寺」という電飾のうち、2文字はネオンが切れていて、「●川南●清真大寺」になっている。大雑把な保守ぶりだ。

南関清真大寺の外壁1階部分には多くの店舗が入居している。羊を吊して売る店とか、イスラム用品の店など。帽子や衣装などのほか、土産用の小物もたくさん置いてある。

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その他の銀川市内の観光地は、たまたま通りかかったもののみ、見てきた。

鼓楼は保守工事中だった。

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17路のバスから見かけた承天寺塔。この塔に上ると銀川市内が一望できるそうだが、私は高いところが苦手なのでどうせ登ることはできない。バスの窓から見上げるだけで十分。

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posted by 陳ゆう at 00:30 | 旅の記録 西夏王陵 / 銀川 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする